鑑定評価書のご説明⑦ 「Ⅴ.鑑定評価の依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格の種類との関連」「Ⅵ.鑑定評価を行った年月日」

今回は「鑑定評価書のご説明⑦」として「Ⅴ.鑑定評価の依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格の種類との関連」「Ⅵ.鑑定評価を行った年月日」の2つです。

【記載例】

Ⅴ.鑑定評価の依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格の種類との関連

 本件鑑定評価は、前記依頼目的に対応した条件により、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を求めるものであり、求める価格は正常価格である。

Ⅵ.鑑定評価を行った年月日

 令和○年○月○日

~~~~~~~~~~~~~~~~記載例ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~

【ご説明】

Ⅴ.鑑定評価の依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格の種類との関連

「鑑定評価書のご説明④ 鑑定評価の基本的事項_2 鑑定評価の条件」、「鑑定評価書のご説明⑤ 鑑定評価の基本的事項_3  価格時点・価格の種類」、「鑑定評価書のご説明⑥ 鑑定評価の依頼目的等」のところで触れたのですが、

「依頼目的」とそれに応じて設定された「鑑定評価の条件」が「価格の種類」との整合性が保たれているか、についての判断を記載することになっています。

正常価格を求める場合には、「合理的と考えられる条件を満たす市場を前提」としており、依頼目的と鑑定評価の条件がこれと整合しているかを検討・判断したうえでその旨記載しています。

特定価格を求める場合には、⑤のところで触れたように、特定価格は法令による社会的要請を背景にしており、具体的にどの法令による要請なのかを明示して、その根拠を記載する必要があります。

Ⅵ.鑑定評価を行った年月日

不動産の価格は年月の経過によって変動していきますので、鑑定評価額決定の基準となる年月日を確定しておく必要があるので、この日を価格時点として表示する旨「鑑定評価のご説明⑤」に記載したのですが、「鑑定評価を行った年月日」とは鑑定評価書の作成し鑑定評価の手順を完了した日の事を指しています。

非常に些細な懸念なのですが、価格時点と鑑定評価を行った日は厳密には一致せず、この間に世の中に何か不動産価格に大きなインパクトを与えるような事件が起きたとすると、そのわずかな日数の差が価格差を生むかもしれないのですが、鑑定評価額の判断は価格時点のものなので、それぞれの日にちによる違いを立証するために鑑定評価を行った年月日を記載することになっています。ちょっと気を使いすぎかもしれない。