鑑定評価書のご説明⑧ Ⅷ.対象不動産の確認

今回は「鑑定評価書のご説明⑧」として「Ⅷ.対象不動産の確認 」です。
【記載例】
Ⅷ.対象不動産の確認
1.物的確認
(1) 実地調査を行った年月日 ○○○○年○月○日
(2) 実地調査を行った不動産鑑定士の氏名 ○○ ○○
(3) 立会人の氏名、職業 株式会社××不動産 ○○支店営業部 ○○ ○○様
(4) 実地調査を行った範囲
立会者の案内の下、境界部分及び対象不動産内部について実地調査を行った。
(5) 実地調査の一部を実施できなかった場合にあっては、その理由
上記のとおり実施した。
(6) 確認に用いた資料
○○○○年◯月◯日時点における法務局備付けの登記事項証明書・公図・地積測量図、 ○○○事務所作製の縮尺000分の1の確定実測図
(7) 確認資料との照合事項及び照合結果
① 照合事項 位置・形状・規模
② 照合結果
現地踏査の結果、確認資料と照合して、照合事項について概ね一致を確認した。なお、 隣地及び道路との境界については上記実測図のとおり、境界石の存在を確認した。
(8) 評価上採用する数量
実測数量 なお、登記記録数量と採用した実測数量は一致している。
2.権利の態様の確認
(1) 所有権
① 所有者
○○ ○○
② 確認に用いた資料及び確認日
a.確認に用いた資料
○年〇月〇日時点における登記事項証明書
b.確認日
○年○月○日
(2) 所有権以外の権利
な い
3.当事者間で事実の主張が異なる事項
特になし。
~~~~~~~~~~~~~~~~記載例ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
【ご説明】
対象不動産の確認作業において確認した事項については、後日疑義が生じる事のないように、確認した事項及び確認資料等と照合した結果とともに確認方法及び確認資料について記載することとされています。これらの事項の如何によっては価格(又は賃料)の水準が変わり得るものであるため、明確に書面に記載しておく必要があるためです。ご依頼者におかれましては、この点に疑義がある場合には確認して疑問点を解消しておくべきところです。
確認方法については、登記事項証明書や竣工図面、賃貸借契約書等の書面によるものか、依頼者等からの聴聞(口頭)によるものか、の別を記載する。あわせて、確認した書類名称等のほか、必要に応じて当該書類の作成日を記載します。
鑑定評価においては、原則として対象不動産の内覧を含む実地調査が必要である。不動産鑑定士が対象不動産の実地調査や依頼者や立会人等からの説明等を通じて行った確認事項は問題が発生した際における責任の範囲を明確にするとともに、鑑定評価の精度にも影響することから、鑑定評価書の利用者に誤解を生じさせないようにできる限り詳細に鑑定評価書に記載すべきとされています。
主な確認事項について次に触れます。
●実地調査を行った年月日
価格時点における対象不動産の状態の確認として、実際に現地に赴き対象不動産の現況を確認した日
●実地調査を行った不動産鑑定士の指名
対象不動産について、複数の不動産鑑定士で鑑定評価を行った場合には、実地調査を行ったすべての不動産鑑定士の氏名を記載する。
●立会人の氏名及び職業
立会人とは、依頼者の指示に基づき実地調査に立ち会い、対象不動産を案内した者(依頼者本人や依頼者の役職員を含む)をいう。職業とは、会社名、役職、氏名をいう。
●実地調査を行った範囲(内覧の有無を含む。)
建物内部の確認(内覧)を含む実地調査を行った範囲を記載する。
●実地調査の一部を実施することができなかった場合にあっては、その理由
賃借人との関係や物理的な理由で建物の一部や敷地の一部の確認ができなかった場合には、その範囲及び理由を記載するとともに、確認できなかった部分についての現状把握のための現状推定根拠(竣工図面、他の類似の建物部分の実地調査、対象不動産の管理者へのヒアリング等)を記載する。
自ら実地調査を行った鑑定評価の再評価において、内覧を省略した場合には、内覧を省略した理由とともに建物管理者による建物管理状況報告書、賃貸借契約一覧表や依頼者からのヒアリング等の個別的要因に重要な変化がないと判断した根拠を記載する必要がある。