「鑑定評価書のご説明⑨」 「Ⅸ.鑑定評価額の決定の理由の要旨 〔Ⅰ〕価格形成要因の分析 1.一般的要因の分析」

今回は「鑑定評価書のご説明⑨」として「Ⅸ.鑑定評価額の決定の理由の要旨 〔Ⅰ〕価格形成要因の分析 1.一般的要因の分析」です。
【記載例】
Ⅸ.鑑定評価額の決定の理由の要旨
〔Ⅰ〕価格形成要因の分析
1.一般的要因の分析
(1) 社会経済情勢
①わが国の経済状況
令和7年1月の内閣府による月例経済報告における我が国経済の基調判断は次のとおりで、景気全体について「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」として景気判断を据え置いた。
「景気は、一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
・個人消費は、一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる。
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②地域の経済状況
a.東海3県の経済状況
東海3県の経済状況は2025年1月8日の日本銀行名古屋支店公表の「東海3県の金融経済動向」によれば次のとおりで、東海3県の景気判断を「緩やかに回復している。」として、景気判断を維持した。
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b.岐阜県の経済状況
岐阜県経済の状況は令和6年11月7日に東海財務局岐阜財務事務所が公表した岐阜県内経済情勢によれば次のとおりで「緩やかに回復しつつある。」として前回令和6年7月の判断を上方修正した。
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(2)地価の推移・動向
住宅地 単位:%
平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 | 令和7年 | |
全国 | ▲0.4 | ▲0.2 | 0.0 | 0.3 | 0.6 | 0.8 | ▲0.4 | 0.5 | 1.4 | 2.0 | 2.1 |
愛知県 | 0.8 | 0.8 | 0.6 | 0.7 | 1.2 | 1.1 | ▲1.0 | 1.0 | 2.3 | 2.8 | 2.3 |
岐阜県 | ▲1.2 | ▲0.9 | ▲0.8 | ▲0.7 | ▲0.7 | ▲0.8 | ▲1.3 | ▲0.9 | ▲0.6 | ▲0.4 | ▲0.3 |
三重県 | ▲1.6 | ▲1.7 | ▲1.6 | ▲1.4 | ▲1.0 | ▲0.7 | ▲1.1 | ▲0.7 | ▲0.2 | 0.2 | 0.5 |
商業地 単位:%
平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 | 令和7年 | |
全国 | 0.0 | 0.9 | 1.4 | 1.9 | 2.8 | 3.1 | ▲0.8 | 0.4 | 1.8 | 3.1 | 3.9 |
愛知県 | 1.4 | 2.7 | 2.4 | 3.2 | 4.6 | 4.1 | ▲1.7 | 1.7 | 3.4 | 4.2 | 3.7 |
岐阜県 | ▲1.2 | ▲0.9 | ▲0.7 | ▲0.4 | ▲0.5 | ▲0.7 | ▲1.6 | ▲0.9 | ▲0.3 | 0.3 | 0.6 |
三重県 | ▲1.5 | ▲1.5 | ▲1.6 | ▲1.3 | ▲0.8 | ▲0.4 | ▲1.2 | ▲0.8 | ▲0.3 | 0.2 | 0.5 |
国土交通省 土地・建設産業局 「令和7年地価公示結果の概要」より抜粋
令和6年1月以降の1年間の地価について
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~~~~~~~~~~~~~~~~記載例ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
【ご説明】
「鑑定評価額の決定の理由の要旨」ということで、まずは「価格形成要因の分析」について書いています。
価格形成要因は「不動産の効用及び相対的希少性並びに不動産に対する有効需要に影響を与える要因」と定義されており、「一般的要因、地域要因及び個別的要因」に分けられます。このうち一般的要因とは「一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因を言う。」と定義されています。ただし、実際の鑑定評価書では現時点の景気の動向について記述することが多いです。弊社の鑑定評価書は、「(1)社会経済情勢」と「(2)地価の推移・動向」の2点についてフォーカスして記述しています。
「(1)社会経済情勢」では、「①我が国の経済状況」と「②地域の経済状況」の二つについて、さらに「②地域の経済状況」では「a.東海三県の経済状況」と「b.〇〇県の経済状況」について記述しています。一般に、景気の動向と不動産の価格の傾向はある程度類似していることが多く、通常は不動産価格の傾向は景気の動向の少しづつあとを追いかけていきます。
まず「①我が国の経済状況」では、日本経済の状況について触れる訳ですが、ここは内閣府の月例経済報告をベースにしています。具体的には景気の基調判断の据え置き又は引き上げ(引下げ)を中心として、閣僚会議資料における今月の指標などにより景気の状況について触れています。
「②地域の経済状況」では「a.東海3県の経済状況」と「b.〇〇県の経済状況」について分けており「a.東海3県の経済状況」では日本銀行名古屋支店が公表している「東海3県の金融経済動向」をベースに、「b.〇〇県の経済状況」では東海財務局(又は同岐阜財務事務所)の「〇〇県内経済情勢」をベースに地域の経済状況について記載しています。
「(2)地価の推移・動向」では、地価公示・地価調査をベースにして地価の動向について記述しています。
以上