なぜトランプの「自国第一」は間違いか?(プレジデント2026.3.6 「浜田宏一の経済レッスン」)

 隔週刊誌の「プレジデント」の連載で「浜田宏一の経済レッスン」という連載があり、その時々の経済事象を基本的な経済理論に当てはめて解説しておりなかなか興味深い。(多分1回おきにしか出ないのですが、それでもなんとすでに60回を迎えている。)

 3/6日号ではトランプ大統領の「相互関税」戦略をゲーム理論に当てはめて評価しています。

 ゲーム理論といっても純粋にゲームの勝敗を理論づけているわけではなくて、例えば1対1の対決の状況では相手の戦略によってこちらの出方が変わるので、その結果双方の結果も変わっていくというある意味で「当たり前」といえるようなところを、理論的に説明するミクロ経済学の一分野です。

 「相互関税」に当てはめて考えると、例えば、日本とアメリカでそれぞれ①高関税②低関税のいずれかの戦略がとれますが、どちらかが①をとりますと、反対側が報復的に①の戦略をとるまでのわずかの間は、先に①をとったほうに利益がありますが、すぐにもう一方も①をとりますので結果として、それ以前の②-②の状態よりも両国の利益が減ってしまう。ゲーム理論の問題の中では相当にシンプルな結論です。(両方が儲かると思ってとった戦略で結果として両方とも儲けが減るので「囚人のジレンマ」と呼ばれる状況。)

 こういった例でトランプの「自国第一」の末路を論じている。毎度案外面白いので、経済好きの向きにお勧めします。

 浜田先生は以前から岩田規久男先生の意見を支持していて、その流れでアベノミクスを支持していたと思います。アベノミクスは今となっては失敗戦略的なことを言われることも多いのですが、当時の状況(多分流動性のわな的状況)を考えると、その状況で拡張的財政政策を繰り返して、たくさんのお金を無駄にしていたところに、新たな理論を持ち込んでどうにかそれを克服しようとしたものだと思われ、なかなかの慧眼だと思うのですが、惜しかったのはどんな戦略も一本足での状況改善は難しかったことでしょう。経済の状況は結構変わりますから、戦略もある程度はそれについていかないといけない。当時の日銀戦略は一本足過ぎの感はありますよね。

 次に、WILL2026年3月号に会田卓司先生の「これが本当のサナエノミクス」というものがあって、WILLはどちらかというと保守層向けの政治的オピニオン雑誌なのですが、時々経済記事も載っている。会田先生は日本成長戦略会議のメンバーということで、政府の経済戦略に意見を言うお立場のようです。

 ここではサナエノミクスを解説していますが、私の感想では、マスコミでは積極財政が大きくとらえられることが多いように思うのですが、本質は「供給力強化」と「危機管理投資」のようです。(これが本当かどうかはこれから明らかになることでしょう)。現在は「コストプッシュインフレーション」が発生しているわけですから、「供給力強化」は理論的に正しい対応だと思われますので、(少なくとも消費税減税よりはよほどマシ)期待しておきましょう。

以上