サナエノミクス

 日経電子版をお正月にお酒の入った体で眺めていたら「サナエノミクスの政策内容」という記事で次のようなものがありました。

「サナエノミクスの政策内容は以下のとおりです。

 S(サプライサイド)人手不足への取組と供給力強化

 A(人工知能)AI革命を推進し、AI関連投資を促進

 N(ナショナルセキュリティー)経済安全保障を重視し、危機管理投資を成長投資と位置付け

 E(アベノミクスの継続)阿部元首相が進めてきたアベノミクス継続を表明」

ということで、この論評の元ネタは「2025.11.06の大機小機 SANAEノミクスの背骨」という記事のようです。

 これだと最近高市総理が標榜している「責任ある積極財政」の感じが取り込め切れてない気がしますが、E(アベノミクスの継続)に入っているということでまぁよかろう。

 それよりも着目したいのはS(サプライサイド)ですね。

 大学でマクロ経済学を学んだ者の端くれと思っている私としては、最近言われている「物価高対策」は実際の政策、野党の意見及び世間のエコノミストと言われる方々の提言含めすべて、どれもこれもマクロ経済学上は物価高の対策になっていない、むしろ物価上昇に作用するものばかりであると言いたいです。でも実際には家計破綻が迫っていて困っている方がいるので、その対策が必要ですが、それはその層に直接アプローチすればよいわけで、それ以外のところに給付する必要がない。それ以外への給付が沢山混じっているのは政治家の人気取り政策だろう。国家のお金を使って、自分たちのブランディング活動をするわけだからずるい。家計破綻が目前ではない世帯は、家計が苦しいのならもっと稼ぐか、家計を切り詰めればよいので、餓死が目前でもないのに政府支出を頼るのは少々虫が良かろう。それに前述のずるい政策の餌食になっているだけで、知らないうちにコスト負担している訳です。つまり20兆を超す政府支出の増加はきっとインフレを強く後押しします。

 と思っていたら、あったのですねこんなところに。物価抑制政策のエースであるサプライサイドが。つまりサプライサイドの強化により総供給曲線を右方シフトさせ、その結果「物価水準低下&GDP上昇」がやってくるという夢の国への入り口が。でも、多分これはレーガン大統領時代のアメリカで、華々しくデビューしいつしか「双子の赤字の原因だ」と言われて散っていったあのサプライサイ経済学(又はサプライサイダー)だ。(ところで〇〇ミクスって一番初めはレーガン大統領の「レーガノミクス」ですよね)でもあの頃のサプライサイドは、古典派のニュアンスが強くて「需要が供給を生み出す」というセイの法則に近くて失敗したんだと思う。つまり需要が供給を生み出すのは、価格調整によるのだけれども、いくら価格調整で値段が下がってもいらないものはいらないので、単純な「供給力強化」だけでは政策効果は出なくて、マクロ経済には残念ながらマイナスだったのですね。でもそんなこんなで、長い間揶揄され続けていたサプライサイダーの出番がついに来た。これは祝福すべき事柄ですね。AI&ラピダスでサプライサイド強化。労働者の皆さん(私もですが)は生産性を上げないとダメです。

 せっかくサプライサイドに着目したのだから、もう減税などはやらなくてもいいのにね。

 今、減税とか政府支出拡大、さらには消費税ゼロなんて主張している政治家・経済学者・エコノミスト等は少々ずるいと思う。それらの拡張的財政政策はインフレを後押ししますが、そうなるより前にご期待相場的に株式市場の盛り上がりをはじめとして短期的なご祝儀が来るから、自分の手柄があげやすいんですよね。でも、そのあとにインフレ後押しが来るから、その頃には知らない顔して、また別の政策を提言していればよい。でもどうなの、知ってたんでしょ?拡張的財政政策がインフレを助長していた事。それだったら少なくとも警告は発しなければいけない。

 さらに初めのサナエノミクスの政策内容に戻って「E(アベノミクスの継続)」について、経済情勢が全く違うけれど継続しちゃってよいのだろうか、と思うのだけれど、今のところはサプライサイドがあるから、受け流しておきましょう。

以上