流浪の月(凪良 ゆう)

2020年の本屋大賞を受賞、広瀬すずさん主演で映画に等々ミーハー心を満たすには十分な売り言葉で満たされた小説。
本屋大賞は設立間もないころに受賞作を読んでみて、あまり自分には合わないと思っていたのでこの頃は全く読んでいなかったのですが、結構面白いゼ、とおっしゃる方がいたなぁと思い今一度トライした。
細かい表現に結構気を使っているし、ステレオタイプな社会の偏見に苦しむ方の生きづらさ(こうやって一言で言ってしまうと、この小説を評価している方の反感を買うかもしれない。でも長々と説明するのは本意ではないので。)など主題も泣かせる・問題意識を喚起する等々いい小説なのでしょう。
でもね、読み始めて間もなく頭の中に「フランダースの犬」が思い浮かぶのですよ。
「フランダースの犬」悪いアニメではない。それどころか、大好きだと言っても過言ではない。でも、子供向け。
いじめ、社会の偏見に耐え切れず死んじゃうネロとパトラッシュ。でも翌朝みんなは改心していて、二人の死を悲しむ。
大人になってもう一度見ると、気づきませんか「あと少し、本当にあとすこしだけ頑張ったら、すべてうまくいったのに。」社会人のほとんどは報われないとわかっている事でもそんな簡単にあきらめないで、何かにかじりついているのです。
子供に、「かじりつけ!とはかわいそうじゃないか。」と聞こえてきますが、ネロくんの場合かじりつかなくても、助けて!ってサイン出せばどうにかなったんじゃない?翌朝すべての大人が反省しているんだから。
本国ベルギーではネロくんたちは全く人気がなく、アントワープの大聖堂(このワードだけでも子供の頃の涙を思い出す)などに日本人が沢山見に来るから驚いたようです。彼らはネロとパトラッシュの弱さの方に目が行ってしまったんでしょうね。
流浪の月の目次を見ると、章立てで時期を変えたり語り手を変えたりが想像できるので、そのうちネロとパトラッシュは消えていくだろうと思いながら読み続けたのですが最後まで消えない。ミルク色の夜明けまで歩き続けたわけです。
流浪の月の主演の男女。辛いのでしょう。でも、どうしてもネロとパトラッシュを連想してしまうのです。
この本が好きな方ごめんなさい。
以上

