盤上の向日葵(柚月 裕子)
以前柚月さんの「BUTTER」という小説を題材に使ったのですが、ダガー賞という英国のミステリー小説の賞にノミネートされた割にはミステリーの要素が少なく感じられ、どちらかというとグルメ小説ということにした方が読む前の期待感を裏切ることはないだろうという中途半端な感想に至り、別の小説を読んでみたらどうだろう、と思っていたところこの「盤上の向日葵」を見かけました。
将棋については、全くの下手くそなのですがどうにかルールは知っており、日曜のNHK杯を見るとか、スマホアプリの「ぴよ将棋」で暇なときに指す位の薄いながらも関係性を保っていたので、是非これを読んでみようということにしました。
「ぴよ将棋」は指すたびに「ピヨピヨ」という鳴き声がするという子供じみたアプリなのですが、将棋は結構強く七段くらいまで対応しているようです。私は初段ということになっていて、社会的には「強くはないが、ヘボという訳ではないかな。」位のところにランクされています。ところがこのアプリでやった事のある方は感じているかもしれないのですが、一定以上しつこく粘っていると「ぴよ将棋」さんはイラっとしてしまうのか、ヤケの手を連発(簡単に言うと無理だとわかっているのに、価値の大きい駒を気前よく捨ててくるのです。所謂無理筋の連発です。)することが多く、こちらとしてはどうしてもそのモードになることを目指してしまい、迷ったときは守りの手を指すのが必勝な感じになっていて、実際に人と対戦した時はそんなにうまくはいかないだろうな、と感じており、その意味では私の「ぴよ将棋」の初段はちょっと粉飾気味で、実力はもうちょっと下でしょう。
「盤上の向日葵」ですが、少々生意気を承知で言いますとこれは多分ドラマか映画にしていただいたものを見るのが最上かと思います。小説として読むと、特に中盤以降で、突っ込みどころが多すぎる。将棋のタイトル戦でありえない決着になっていますし、タイトルとも関係していますが、終盤以降でちょいちょい出てくる妄想が、まず、将棋の対局中に出てくるのは許容できない。最後の最後にも出てきますが、これもきっと途中で出てくる「血」との関係をイメージさせようとしているのだろうと思いますが、小説に使う手段としては安い。(関係者の皆様、生意気ですみません。)それらを踏まえたうえでお読みいただけば楽しめる小説です。調べてみるとすでにドラマにはしてあるようですね。しかも「このミステリーがすごい」という賞の2位になっているようですね。重ねて申し上げますが、面白い小説です。読んでる最中は話の展開が気になってじっくり集中して読んでしまう小説でした。突っ込みながら小説を読むという体験も楽しいものですよ。
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