鑑定評価書のご説明②
鑑定評価書のご説明を始めます。
今回は前回ご提示した【鑑定評価書の構成 例】(目次と思っていただいて間違いないです。)の「Ⅰ.鑑定評価額」と「Ⅱ.対象不動産の表示」を説明してまいります。
Ⅰ.鑑定評価額
【記載例】
Ⅰ.鑑定評価額
総額(単価) 金291,000,000円(479,000円/㎡)※1
本件鑑定評価額は後記 Ⅲ.2.に記載する鑑定評価の条件を前提とする価格である。 ※2
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【ご説明 など】
まず一番始めのページに「Ⅰ.鑑定評価額」として鑑定評価額が記載されます。
※1 鑑定評価額(単価)は通常は上位3桁で丸めて(正確に言いますと4桁目で四捨五入している)います。実際に鑑定評価の手法を適用し算定した段階では一定の桁数に揃わないのですが、鑑定評価額として表示する際に丸めます。丸めるのは3桁でなければならないルールはないので、依頼者から指定があれば合わせることができますが、何もない場合は3桁にしています。不動産の価格は7・8桁またはそれ以上になることが多く、通常の取引では1円まで精算することは珍しくどこかで桁を区切ることが多く、鑑定評価でもその実態に合わせているものです。
※2 不動産鑑定を行う前提として、何らかの条件を付けることがあります。詳細は後日「Ⅲ.鑑定評価の基本的事項」の「2.鑑定評価の条件」において触れます。この「鑑定評価の条件」が価格水準に影響している可能性が大きいため誤解を防ぐ目的で「価格に近傍に表示」することとなっており、こちらにその「鑑定評価の条件」を記載します。
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Ⅱ.対象不動産の表示
【記載例】
Ⅱ.対象不動産の表示
所在及び地番 :岐阜市五反田町10番
地目 :宅地 ※3
評価数量 :公簿 1,000㎡ ※4
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【ご説明 など】
次に鑑定評価の対象となる不動産(=対象不動産)を表示します。
※3 地目とは利用形態によって区分される土地の種類で、宅地、農地、林地等があります。不動産登記簿に登記されており登記簿謄本等で確認することができます。通常は登記された地目は現況と一致しているのですが、これが異なっていることもあります。この場合は、背景の事情などを考慮して対応を判断します。
※4 評価数量は土地の場合面積を指します。これも不動産登記簿に登記されていますが、必ずしも実際の面積と一致している保証はありません。できれば、測量を実施することが望ましいのですが、費用が掛かりますので強行はできません。法務局で入手できる図面と現況に大きな違いがない場合「公簿」と断って登記数量を採用するという対応となることが多いです。
今回はここまで。