鑑定評価書のご説明⑧ 「Ⅶ.関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者に係る利害関係等」

今回は「鑑定評価書のご説明⑧」として「Ⅶ.関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者に係る利害関係等」です。
【記載例】
Ⅶ.関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者に係る利害関係等
1.関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者の対象不動産に関する利害関係等
関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無:いずれもない。
2.依頼者と関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との関係
依頼者と関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との間の特別の資本的関係、人的関係及び取引関係の有無:いずれもない。
3.提出先等と関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との関係
本鑑定評価書が依頼者以外の者へ提出される場合における当該提出先又は本鑑定評価額が依頼者以外の者へ開示される場合の当該相手方と関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との間の特別の資本関係、人的関係及び取引関係の有無:いずれもない。
~~~~~~~~~~~~~~~~記載例ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
【ご説明】
関与不動産鑑定士とは、「当該不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士の 全員をいい、当該不動産の鑑定評価に関する業務の全部又は一部を再委託した 場合の当該再委託先である不動産鑑定業者において当該不動産の鑑定評価に 関与した不動産鑑定士を含むものとする。」
関与不動産鑑定業者とは、「当該不動産の鑑定評価に関与不動産鑑定士を従事 させている不動産鑑定業者のすべてをいう。」
不動産の鑑定評価に関与するとは、「対象不動産の鑑定評価の核となる 主たる部分の全部又は一部について、これを直接指揮し、実行し、補助する等によって その実施にあずかることをいう。また、鑑定評価の核となる主たる部分とは、鑑定評価 の基本的事項の確定、対象不動産の確認、処理計画の策定、資料の分析、経済価値の 判定、価額の表示等をいう。」
ということになっています。これらの利害関係を有する場合に不動産鑑定評価の受託が禁じられているわけではないのですが、「不動産の鑑定評価に当たっては、自己又は関係人の利害関係の有無その他いかなる理由にかかわらず、公平妥当な態度を保持すること。」(不動産鑑定評価基準 第1章 第4節「不動弾鑑定士の責務」から抜粋)となっていて、特に不動産鑑定評価の実施に当たって“手心”等を疑われる可能性のある「縁故」「利害関係」等を有する場合には鑑定評価書にこれらを明確に記載して、そのうえで公平妥当な態度を保持している、ことを保証しようとするものです。
また依頼者との関係について、明らかにすべき特別の関係は、関与不動産鑑定士や、関与不動産鑑定業者が行う鑑定 評価業務に対し、依頼者が支配的な影響を及ぼすことができるかどうか、関与不動産 鑑定士や関与不動産鑑定業者が鑑定評価業務の実施に当たり依頼者の直接の利害を 特に考慮する立場にないかどうか等の観点から判断する。こととされています。