マウス(村田 紗耶香) 日経新聞すこし追加

 「クレイジー紗耶香」と呼ばれている村田紗耶香サンの小説を読むときは、期待と覚悟を持って臨む。つまり、それを受け入れる心持ちの準備なくしていきなり読むとせっかくの情報を正しく受けられなくなる可能性がありますから。それくらいアクの強い小説であることが多い。でも、そのアクの強さがあるからそれが村田紗耶香サンの小説を読む理由になるわけです。

 結論を先に述べると、その覚悟と期待を持ってこの「マウス」を読むと大きな期待ハズレが待っている。心に葛藤を抱え続けている主人公と、完全に「浮いて」いるその友達。ここまでは期待通りですが、なぜか青春物語のようにきれいに消化されていきます。

 プロ野球でいうと、変化球の切れ味抜群の投手はそのベースに直球の切れ味がある、のようなことかな?思いもつかない変態物語をしっかりと描けるということは、ストレートな物語の構想力がベースにあるということなのでしょうね。つまり「マウス」は変化球投手に必要なストレートのキレです。

 同じようなカテゴリーで飴村行サンという小説家がいて、「粘膜人間」などの村田紗耶香サンに勝るとも劣らない強烈な個性を発揮していたのですが、どうも本人曰くスランプに陥ったそうで、最近は小説を出していない。その意味では村田紗耶香サンの強烈な個性のベースにはこの「マウス」があって、それ故に個性あふれる小説を発表し続けられるのでしょうね。なお、飴村行サンの「粘膜人間」に始まる一連のシリーズは強く推奨できる小説ですので、村田紗耶香サンが気に入った方にはぜひ読んでいただきたい。

 結局「マウス」は村田紗耶香サンの小説を読むうえで、一番最初ではなくてもどこかのタイミングで必ず読んでおくのが有意義な小説ですね。

 

 全く話が変わるのですが、ちょっと前になるのですが4/29の日経新聞「大機小機」に「筆掃」というペンネームの方が「米ハーバード大のベンジャミン・フリードマン教授と」「カンファレンスの時に隣に座り」「FRBのフィッシャー副議長と3人で議論した。」「(フリードマン氏に)日本の長短金利操作をマイナス金利政策について説明した。」「(フリードマン氏から)日本の長短金利政策やマイナス金利政策に当てはめ、その効果を適切に解析したものになっている、とコメントをもらった。」云々とたくさんのエピソードを披露しており、かなり驚いた。これだけのことをやっている日本人はそれほどいないだろうから、これは誰だ?!と気になります。

 インターネットで検索すると浜田宏一(幸一じゃないですよ)さんだという説があるようです。ん~、まぁそれぐらいじゃないと、この交流はないでしょうね。

以上