『BUTTER』が英国で受けている ー エッ!なんで⁉(月刊WiLL7月号)髙山正之・谷本真由美

 

 少し時間がたってしまったのですが、月刊WiLLというオピニオン雑誌に少々気になるタイトルの記事がありました。私としてはこの「BUTTER」はここで取り上げたものの、作品としてはあまり持ち上げてはいない立場なので気になるタイトルではあります。(しかも政治的主張の強いこの雑誌で)

 そもそもは昨年に髙山氏が週刊新潮に連載しているコラムが差別的であるということで新潮社に非難が多く寄せられ、髙山氏(及び彼の同意見派)にしてみるとどうも納得いかない感じでそのコラムが打ち切りになっており、それに対する新潮社への抗議として「BUTTER」の著者である柚木麻子さんが「BUTTER」の出版権を新潮社から河出書房新社へ移すことになった、という事案が背景にあるようです。

 髙山氏のコラムにおける差別云々の是非はさておき、柚木さんは髙山氏の肩を持って新潮社にダメージを与えてくれたわけで味方なのだから、素直に喝采すればよさそうなものですが。なんと「作品としてあまり面白いとは思わなかった。」とか「カズオ・イシグロの作品の方がよっぽど優れていませんか」など言いたい放題とも思える。素直じゃないなぁ。それとも素直じゃ仕事にならないのかな?

 このあたりがこういった人気の雑誌に連載を持つコラムニストの一筋縄ではいかないところで、その後の展開で結局欧米の文化論に持ち込んで「BUTTER」をどうにかこうにか持ち上げようとしているようです。曰く、もともと英国男性はお淑やかタイプの日本人女性が好きらしいのだが、本書は男性を手玉に取る女性が描かれておりそれが新鮮に映った。この「手玉」がフェミニズムに響いた等々。書評としてはいただけない部分が少なくないのですが、まぁ月刊WiLLは文藝雑誌ではないから仕方のないところです。

 私はこの手の政治的主張雑誌には興味がない(注)のですが、(本気の信念があるのなら自分が立候補するのが本筋でしょ⁉責任ないところでごちゃごちゃ言っても居酒屋の世間話と大差ないね。)こういう雑誌にも経済政策みたいな記事があるのでそこは読んだほうが良いかな、と思い時々目を通しているのです。それで最近分かったのが、政治に関わり合いを持ってしまった経済学者ないしはエコノミストはもうダメなことが多いということ。

 政治というのは結局人気をたくさん得ることが重要ですから、経済について意見を持っている人が政治に係わってしまうと「本当は正しくても大声で言うと人気が下がってしまう。」という場面が来たときに人気を優先しないと、仕事が少なくなってしまうよね。ですのであえてダメだと知りつつ、人気が出やすい主張に肩入れするインセンティブが発生してしまうように思う。物価高って減税で対策したことになりますか?

(注)政治に興味がないのではなく「政治的主張雑誌」(正確には「雑誌記事」)に興味がないのです。新聞はしつこいくらいに読みますし、選挙も必ず投票に行きます。同意見の人の主張を読んで「よしよし。」というような感じが好きではないのです。意見は異なっているとしても新聞の社説は面白がって読むタイプ。

以上